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Q9: 小児慢性特定疾患って何ですか?

A: 小児慢性特定疾患治療研究事業についてお話します。
 本事業は、慢性疾患に罹患しているお子さんの医療費の自己負担分を補助し(国と地方自治体が50%ずつ)、治療研究にも役立てる制度として1974年に創設されました。当初は法的根拠のない事業でしたが、児童福祉法の改正案が2004年11月に国会で成立し、2005年4月以降、法律に基づく安定的な制度となりました。
 要点は以下のようになります。
慢性消化器疾患群を追加して対象疾患を11疾患群とし、厚生労働大臣が定める514の疾患が対象になりました。従来は入院のみが対象だった疾患もありましたが、全ての疾患で入・通院とも対象になりました。対象年齢を延長し、新規認定は18歳未満、継続申請は20歳未満までになりました。他の医療費公費負担制度との均衡を考慮して、家庭の所得に応じた自己負担が導入されました。一定の基準を満たす(重症認定)、重症な患者さんは自己負担金がなくなります。日常生活用具の給付など、福祉サービスの充実が図られました。従来は、医療施設は一施設に限られていましたが、複数の施設にまたがって適用されるようになりました。また、研究面では従来以上に専門的に解析できる内容になりました。
 「実施主体」は、都道府県、指定都市及び中核市です。514疾患すべてを対象とするかは各自治体の裁量に任せられており、財政事情によりその自治体で認める疾患数は変化します。

1)対象疾患群:
・ 悪性新生物
・ 慢性腎疾患
・ 慢性呼吸器疾患
・ 慢性心疾患
・ 内分泌疾患
・ 膠原病
・ 糖尿病
・ 先天性代謝異常
・ 血友病等血液・免疫疾患
・ 神経・筋疾患
・ 慢性消化器疾患
             の11疾病区分に分けられています。

2)対象疾患及び対象基準
 神経・筋疾患の疾病区分では、福山型先天性筋ジストロフィーなどの先天性遺伝性筋ジストロフィー、ネマリンミオパチー、筋細管性ミオパチー、先天性筋タイプ不均等症、セントラルコア病、ミニコア病などの先天性ミオパチー、結節性硬化症、ミトコンドリア脳筋症、Kearns-Sayre症候群、リー脳症(Leigh脳症)、レット症候群、無痛無汗症、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、点頭てんかん(West症候群)、レノックス・ガストー症候群、乳児重症ミオクロニーてんかんが認定されています。
 それ以外に、先天性代謝異常の疾病区分に多くの神経疾患が含まれています。神経・筋疾患のあるものは遺伝子異常に基づくため、先天性代謝異常の疾病区分に分類されています。この中には、高アンモニア血症や有機酸代謝異常症、アミノ酸代謝異常症、白質ジストロフィー(MLD, ALD、アレキサンダー病、カナバン病、クラッベ病)、筋型糖原病、ペルオキシゾーム病、色素性乾皮症、ムコ多糖症、ムコリピドーシス(GM1, GM2ガングリオシドーシス、ニーマン・ピック病、フコシドーシスほか)、レッシュ・ナイハン症候群、ニューロナルセロイドリポフスチン症、メンケス病、ロウ症状群、ルイ・バー症候群、Pelizaeus-Merzbacher病、エーラース・ダンロス症候群、ウィルソン病、軟骨無形成症、軟骨異栄養症などが含まれています。この他に、内分泌疾患の区分中には、プラダー・ウィリ症候群、XXX症候群、クラインフェルター症候群、周期性ACTH症候群、全身性リポジストロフィー、早老症、慢性呼吸器疾患の区分中には気管狭窄、悪性新生物の疾病区分では各種の脳腫瘍などが対象となっています。
 お子さんの疾患が対象疾患になっているか、主治医に問い合わせてみてください。これらの疾患の中には病名がつけば認められるものと、一定の条件がないと認められないものがありますので、主治医にご確認ください。また、詳細は厚生労働省のホームページにアクセスして情報を得ることをお勧めします。

3)一部負担額
 小児慢性特定疾患児のご家庭の課税状況に応じて、一定の自己負担が決められており、上限(月額)は入院11500円、外来5750円です。ただし、扶養義務者の市町村税が非課税の場合や重症患児に認定された場合は自己負担が免除されています。

4)重症患児認定基準
 発達・知能指数が20以下、又は1歳以上の児童において寝たきりの方、視力や聴覚に著しい障害を有する方、手・足・体幹機能の著しい障害がある方、等の重症患者認定基準を満たした場合は、自己負担金の支払い義務がありません。

5)福祉サービス
*小児慢性疾患児養育経験者等による相談事業(都道府県事業)
 主として保健所で行われているピアサポート事業です。以前より難病のこども支援全国ネットワークは、病気や障害のある子ども達と家庭へのサポートを目的として、ネットワーク電話相談室を開設し、医療や福祉に関する相談を受付け、また親の会や同病の患者を紹介するなど広範囲な活動を続けていました。
 ピアサポート事業では、この相談事業を拡張し、実際にピアサポーターが出向き、よろず相談や各種手続きの付添い、ボランティアのコーディネートなど、より身近なサポートを継続して行っています。しかし地域によって稼動していないところもあり、今後の課題といえます。

*患者に対する日常生活用具の給付(市町村事業)
 日常生活を営むのに著しく支障のある在宅の小児慢性特定疾患児に対しては、2005年度より日常生活用具を給付することにより日常生活の便宜が図られています。給付の対象となる用具は、便器・特殊マット・特殊寝台・歩行支援用具・入浴補助用具・特殊尿器・体位変換機・車椅子・頭部保護帽・電気式たん吸引器・クールベスト・紫外線カットクリームです。自己負担はやはり扶養義務者の課税状況により区分されています。

(宮城県拓桃医療療育センター小児科 萩野谷和裕)


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