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Q6:日本脳炎ワクチンには副作用があると聞きましたが、どのような副作用ですか?

A:日本脳炎は,日本脳炎ウイルスに感染することによっておこる急性脳炎です.主にブタがウイルスを保有して増幅させ,我が国ではコガタアカイエカなどの蚊が動物の間を媒介します.ウイルスを持っている蚊に刺されることによってヒトにも感染します.日本脳炎は重篤な病気で,発病すると死亡することや後遺症を残すことが高率にあります.1960年代以前は日本でも一年間で1000人以上と多くの患者さんがいましたが,最近では予防接種の普及,ウイルスを伝える蚊が減少したこと,生活環境の変化などにより,患者さんの数は激減し1990年代になると年間10名以下になりました.
 しかし,2000年以降,日本脳炎ワクチンの接種のためと思われる急性散在性脳脊髄炎を発病する例が報告されました.急性散在性脳脊髄炎とは,何らかの感染症や予防接種後などに,発熱,嘔吐,意識障害,けいれんなどの症状をきたし,他にも多彩な神経症状をきたす疾患で,感染した病原体に異常に反応しておきる自己免疫性の病気と考えられています.予防接種後の場合は接種後数日から2週間後位程度で症状が出現します.予防接種後の急性散在性脳脊髄炎は経過が良好な場合が多いのですが,日本脳炎ワクチン後では重篤な例が見られたことや,他のワクチンより若干頻度が高かったため,2005年5月より日本脳炎ワクチンの勧奨接種を控えるように厚生労働省が通達を出しました.
 日本脳炎ワクチンは不活化ワクチンで,これまでのワクチンはウイルスを動物 に接種して作られていたために,その動物性蛋白に反応して急性散在性脳脊髄炎をおこす人がいるのではないかと考えられています.そのため現在は培養細胞を材料にして作成する,より副作用の少ない新型ワクチンを開発中で臨床試験中です.
 日本脳炎は中国や東南アジア諸国などではいまだに流行しており死者も数多くでています.日本でも根絶されたわけではなく,以前より日本の南西部の温暖な地域により多くみられています.厚生労働省はブタのウイルス保有状況を定期的に調べており,九州,四国などの南西部ではまだ多くのブタが抗体を持っているそうです.日本脳炎ワクチンの勧奨接種を一時的にやめたことにより,日本脳炎が増加する危険性を心配する専門家もいますが,2006年9月に熊本で16年ぶりに乳児での日本脳炎の発症が幼児で報告されました.現在は新ワクチンを待っているところですが,現在のワクチンも接種が禁止されているわけではなく,東南アジアなどの日本脳炎流行地域に行く場合や蚊に刺されやすい環境にいる方,日本脳炎の感染が心配な方などは,本人または保護者が予防接種の効果や副反応について説明を受け文書での同意をしたうえで,接種することが可能です.

(国立病院機構西新潟中央病院小児科  遠山 潤)


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