日本小児神経学会
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Q49-1 赤ちゃんの背中(腰)に軟らかい瘤があり、「脊髄の病気があるかもしれませんよ?」と言われました。どういう病気なのですか?そして、どうしたら良いでしょうか?

二分脊椎症(または神経管閉鎖不全症)と呼ばれる病気が考えられます。この病気は、妊娠初期におこり、脳や脊髄の元になる「神経管」の先天異常です。
 二分脊椎症は、大きく顕在性と潜在性に分けられます。顕在性では背部の皮膚が一部欠損し、欠損部に露出した脊髄から髄液が漏れます。水頭症などの脳の異常を伴うことが多く、脊髄髄膜瘤とも呼ばれます。潜在性では、背部は正常もしくはほぼ正常の皮膚で覆われ、脊髄は見えません。
 お子さんの背中の軟らかい瘤は、おそらく脂肪組織のかたまり(皮下脂肪腫)でしょう。この脂肪腫が脊髄とつながっていれば、脊髄脂肪腫と呼ばれる潜在性二分脊椎症が考えられます。
 また、瘤をつくらない皮膚症状をきっかけに潜在性二分脊椎症が見つかることがあります。注意する皮膚症状は、多毛、血管腫、母班(色素班)、皮膚小陥凹または皮膚洞(皮膚表面の小さな穴)、皮膚瘢痕(たばこによる火傷に見える)、人尾(human tail)または皮膚付属器(caudal appendage)とよばれるソーセージ様の皮膚突起物、臀部の左右差や臀裂(おしりの割れ目)の歪み、などです。
 この病気では、赤ちゃんの時に神経症状が無くても、成長に伴い下肢の運動知覚障害や足部変形(内反足など)、排尿排便障害、などの神経症状(脊髄?留症候群と呼ばれている)が出現することがあり、注意が必要です。潜在性二分脊椎症の約7割に皮膚症状があると言われますが、皮膚症状のない潜在性二分脊椎症もあります。また、鎖肛など肛門直腸奇形の子どもには、潜在性二分脊椎症が多いと報告されています。
 いずれにしても、背部(腰)に見慣れない皮膚症状を見つけたら、子どもを診療する脳神経外科医や小児神経科医に診てもらいましょう。

Q49-2 私の赤ちゃんは、ふだんは見えないけれど、おしりの割れ目の中に凹みがありました。これは放置しても良いですか?

 臀裂(おしりの割れ目)の中で尾骨の上にある皮膚の陥凹は、仙尾骨部皮膚陥凹(sacrococcygeal dimple)または仙骨部皮膚陥凹(sacral dimple)と呼ばれるものです。この皮膚異常は、健常新生児の約3%に見られるという報告があるため、臨床的な意義は乏しく、画像検査を必要としないと言われています。しかし、仙骨部皮膚陥凹に脊髄終糸の脂肪腫を伴う場合があり、脊髄終糸脂肪腫が脊髄?留症候群の原因となる場合が報告されています。このため、画像検査は不必要であると断言することはできず、臨床の現場では意見の分かれるところです。

Q49-3 脊髄に異常があるかないかは、どういう検査で診断するのですか?また、治療できるのですか?

 ふつうはMRIや超音波による画像検査で診断します。MRIは診断の精度が高い検査法ですが、小児とくに乳幼児では、鎮静(経口薬、坐薬、静脈麻酔薬などで一時的に眠らせる)を必要とすることが多いです。超音波検査は鎮静が不要ですが、検査に習熟した医師がいないとできません。一長一短があるので、担当医と相談して検査を受けるかどうかを判断してください。
 潜在性二分脊椎症の治療は、現時点では外科治療だけです。すなわち、背部の皮膚組織とつながった状態にある脊髄から、「つながり」を取り除き、脊髄の動きに自由度を回復させることです。この病気は重症度などの個人差が大きいので、小児の治療ができる脳神経外科医と相談してください。

長坂昌登(あいち小児保健医療総合センター脳神経外科)


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