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Q46:ニーマンピック病C型の治療薬が認可されたと聞きましたが、どのような薬でしょうか?

A 疾患について

 ニーマンピック病にはA型、B型、C型があります。A型、B型は脂質を代謝する酵素の異常により発症する疾患、C型は細胞内の脂質の輸送に関与する蛋白質の異常により発症する疾患で両者は異なる疾患です。
 ニーマンピック病C型は発達の遅れ・退行と肝臓・脾臓の腫大を来す稀な遺伝性の病気です。発症は新生児から成人までいずれの時期でもみられ、発症時期により症状が異なります。日本人でもっとも多い幼児期発症の患者さんの典型的な症状は、発達の遅れと歩行のふらつき(運動失調)、笑うと力が抜ける発作(カタプレキシー)、肝臓・脾臓の腫大で、徐々に症状が悪化します。1−2年すると足の硬さ(痙性やジストニア)も見られるようになり、次第に歩きにくくなってきます。発音不明瞭(構音障害)や食べ物の飲み込みにくさ(嚥下障害)、知能の低下も加わり、学童期には寝たきり状態となります。てんかんを併発することも多いです。学童期や青年期になってから発症する場合は学習の困難や行動上の問題、不器用さ、転びやすさなどを認めます。成人では幻覚、妄想などの精神症状で発症する場合もあります。幼児期発症の患者さんと比べて緩やかですが症状は進行します。学童期以降の発症の場合、肝臓や脾臓の腫大を認めない場合もあります。
 診察所見では、肝臓・脾臓の腫大と眼球が上下方向に動かないことが特徴です。診断には骨髄や皮膚を採取する必要があります。
 病気を完全に治す治療法は今のところありません。特定疾患(難病)に認定されていますので、医療費の減免や日常生活用具の給付を受けることができます(保健所が窓口ですが、市区役所で受け付けている地域もあります)。

開発された治療薬について

 ミグルスタットはニーマンピック病C型で細胞の中にたまる糖脂質の合成を抑制する薬です。糖脂質が細胞にたまることを防いで病状の進行を抑える「基質合成抑制療法」になります。
 学童期以降発症の患者さんで飲み込みや眼の動きを改善させたことが報告され、神経症状にも効果があることが分かりました。2009年にヨーロッパでニーマンピック病C型に対する治療薬として認可され、日本でも2012年3月に承認、5月より投与可能となりました。
 飲み薬で、成人は通常1回2カプセル(200mg)を1日3回、小児の場合は体格に合わせて投与量を調整して1日1回から3回内服します。副作用は下痢やおなかがはるなどの腹部症状が中心で、強い場合には体重が減ってしまう場合もあります。下痢はミグルスタットが消化酵素の働きを抑えてしまうために生じる副作用で、その出現には食事と薬の内服の間隔が大きく影響します。薬の内服を食事と食事の間にして、時間を空けることで副作用を軽くすることができます。
 学童期・成人発症の患者さんだけでなく小児の患者さんでも、一部の病状を安定化させたという報告があります。神経症状が進行した患者さんではミグルスタットの効果は乏しいですので、早期診断と早期の治療開始が重要です。

(鳥取大学医学部脳神経小児科 戸川雅美)


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