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Q39:小学4年の息子のことで相談いたします。震災の影響か、家族が死ぬ夢を見て以来、ときどき恐怖感・不安感に襲われることが多いようです。本人なりに気持ちを切り替える努力をしていますが、拭い切れないようです。どのようにしてあげたらよいのでしょうか。

A 子どもの恐怖感・不安感に対して、「だいじょうぶ」であることを伝えてあげることが大切です。伝え方はさまざまですが、子どもが抱えているのは「感情」の問題であって、「理屈」ではないことをまず理解しましょう。
 大人なら、悩みを聞いてもらい、問題を整理してすっきりできるかもしれません。このためには、問題を整理するだけの経験と能力が必要です。子どもの場合は、自己解決できるだけの経験に乏しいと考えたほうが無難です。また、「理屈」ではないので、言い聞かせることは、むずかしいようです。
 あなたが「だいじょうぶ」と考えていることを「感情」として伝えるに、ことばを使わないメッセージをうまく利用しましょう。心理学者のメラビアンによれば、コミュニケーションのおおよそ7割が、口調や表情、身ぶりなどによって伝えられ、言葉そのものは数割にすぎないそうです。
 例えば、子どもが恐怖感や不安感について話しているときに、あなたが深刻な表情をしたり、困った顔をしたりすると、子どもは自分が重大な問題をかかえていると誤解してしまいます。あなたがにこやかにしていれば、子どもは、自分の問題が大人なら簡単に解決できることだと理解することでしょう。
 「だいじょうぶ」のメッセージは、子どもの好きな夕ご飯を作ったり、楽しく遊んであげたりすることでも伝えられます。
 災害(地震、洪水、火事など)や事故、犯罪(虐待など)によって、危うく死ぬまたは重症を負うような出来事を子どもが経験した場合には恐怖感・不安感が持続する場合があります。

  • 現実感を失ってぼーっとする
  • 不眠、食欲低下、頭痛などの身体の不調を訴える
  • 甘えて親から離れようとしなくなる(赤ちゃん返り)
  • 出来事を無意識に思い出していらいらし、過敏になる
  • 急に良い子になったように我慢強くなり、無理に手伝いなどをしたがる
  • つらい出来事を繰り返し話したり、再現するようなごっこ遊びをしたりする

このような行動は、要注意と考えた方がよいでしょう。先に述べたように、「だいじょうぶ」であることを伝えることが大切です。具体的には以下のような対応がよいでしょう。

  • 出来事が起こる前の、普段通りの生活パターンになるべく早く戻れるよう環境を整える
  • つらい体験をふりかえる映像・画像などから遠ざける
  • 楽しみにしていることを続けさせてあげる
  • “そばにいるから大丈夫、心配ないよ“と安心させる。言葉だけでなく、抱きしめてあげるなどのスキンシップが非常に大切
  • つらい体験に関する話やそれに関連した遊びは、無理にやめさせずに見守る
  • 勉強できずに成績が悪くなっても一時的なものであると伝え、本人が自信を取り戻せるようにほめて支える

 しかしながら、保護者を含む周囲の大人も同時に心に傷を負ってしまうこともあります。このような場合には、大人自身が落ち着くことが、子どもの不安・恐怖を解消するための第一歩になります。
 まず、出来事が起こる前の、普段通りの生活パターンに戻れるように、環境を整えることから始めましょう。具体的には、「早寝・早起き・朝ごはん」を守ることです。子どもと大人がいっしょに支え合って生活することも、立ち直りに大切です。支え合うことで、子どもが自分の存在価値を再確認するからです。大人が頑張りすぎて疲弊してしまわないように、協力を得ながら対処しましょう。
 ショックを受けるような体験の後、つらいと感じるのは当然のことです。日常の安全な生活を続けることで、徐々に心の傷は回復します。
 もしも、先に述べた行動が1ヵ月以上長く続き、日常生活に支障をきたすような場合には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれる状態が考えられます。上記にあげたような支援を続けても症状が持続し、パニック、自傷行為、無気力、閉じこもりなどがみられる場合には、一人で悩まずに周囲の人や児童相談所、医療機関等に相談して下さい。

(東北大学病院小児科 植松 貢、山形大学医学部看護学科 横山浩之)

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