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Q38:学習障害について

Q38-1 学習障害とは何ですか?

A 学習障害とは、知的な遅れや視聴覚の障害がなく、教育環境も整っておりまた本人の努力にも問題がないにもかかわらず、「読み書き」や「計算」など特定の領域で学習の遅れがみられる状態を指します。また、文部科学省の定義では、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態とされています。

Q38-2 読み書き障害とは何ですか?

A 学習障害のうち、最も知られており、研究が進んでいるのが「特異的読字障害」です。読字の障害があると結果的に書字障害も呈するため、読字障害イコール読み書き障害と表現されることもあります。読み書き障害の背景には、表記された文字を対応する音に置き換えることができないといった音韻化の障害があります。そのため、正確あるいは流暢な単語認識が困難である、文字記号の音声化が稚拙になるといった特徴がみられます。
また、二次的に読解能力の低下や読む機会の減少といった問題が生じ、語彙の発達やその背景となる知識の増大が妨げられることになります。その結果学業上の問題が出現し、不登校など社会適応の問題が併発することにもなります。就学以前に発見されることはまれであり、就学後に両親や担任が読み困難に気がつく場合がほとんどです。また、小学校3年生以降に漢字の習得困難をきっかけとして見つかることも多いです。

Q38-3 読み書き障害の診断検査、治療的な関わり・介入法にはどのようなものがありますか?

A 全般的な知能が正常であるにも関わらず文字が正確にあるいは流暢に読めないといった障害であるため、診断するために知能検査の他に、音読検査を行う必要があります。音読検査とは、ひらがな文字、単語、文の各課題を音読してもらい、音読に要した時間や読み誤り数・パターンなどを計測する検査です。この検査での音読時間や誤りパターンなどを総合的に判断して、読字障害が疑わしければ次の段階検査の要否を判断します。
他の検査結果から総合的にみて読字障害と診断された場合、学業不振だけではなく、学習以外の意欲の減退や心身症、不登校など学校生活における様々な問題に発展することがあるため治療的な関わりが必要となってきます。その場合、モチベーション維持目的でグループ学習をすることもありますが、基本的にはそれぞれの能力に合わせた個別指導が推奨されます。内容はひらがな清音の読み書き練習を行うことが有効なお子さんもいますし、語彙を増やす必要のあるお子さんもいます。その他、文字や単語の音読練習、文字‐音韻関係の習得、イラストの提示による単語の意味教示の他に、モチベーション維持のためにパズルやクイズを利用した学習なども行われています。

Q38-4 学習障害の診断は何歳頃につくのでしょうか?また何歳くらいから専門医に相談した方が良いでしょうか?

A 言語発達(有意語の出現や二語文出現時期)や文字への興味関心の度合いは、学習障害を診断するための手がかりとなりますので、幼児期からの様子を観察しておくことも重要です。文字への興味がみられる場合は、読み書き障害の可能性は低いと思われます。また、鏡文字や書き順、利き手に関しては幼少期であれば、直ちに学習障害の一症状であるとは言えません。一般には小学校1年生が終わる頃でも、ひらがな文字の読み書き困難がみられる場合や、特殊音節(拗音、撥音、促音)につまずきがあるようならば、小児神経科医の相談を考慮されてもいいのではないでしょうか。

(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的障害研究部 稲垣真澄)


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