日本小児神経学会
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Q33:息子がRasmussen症候群(ラスムッセン症候群、ラスムッセン脳炎・脳症)と診断されました。どのような病気なのでしょうか?また、どんな治療法があるのでしょうか?

A:感染などをきっかけに発病する、自己免疫性の難治なてんかん発作を主体とする病気です。
【名前の由来】
 1958年にRasmussenらが、術前には予期し得なかった限局性脳炎の組織所見を有する難治部分てんかん手術症例を3例報告したのが本症候群研究の始まりで、最初の報告者の名前が付いています。
【好発年齢】
 発病年齢は平均7.2±6.4歳 で小児期に多いですが、成人でも発病することがあります。
【発病のころ】
 多くの症例がけいれんなどのてんかん発作で発病しますが、かぜや扁桃腺炎などの感染症や日本脳炎などのワクチン接種から2週間くらいして起こることが40%くらいにあります。はじめは普通のてんかん(局在関連性てんかん)と同じような経過で、月に1回から数回の発作ですが、徐々にてんかん発作の回数が増加していきます。
【発作増加のころ】
 発病から数ヵ月しますと発作が毎日のようになり、一側の指や手全体がぴくぴくずっとしているといった状態(持続性部分てんかんとも言います)になる場合が多いです。次第に発作の多い身体の部分の麻痺が明らかになり、一側の手足が使いづらくなります。知的な面でも発達が伸びなくなってきます。
【障害固定のころ】
 発作がひどくなって数ヵ月すると、片麻痺や知的障害などが回復できない状況になり、青年期では精神症状も見られることがあります。発作は徐々にですが減少します。
【原因】
 かぜなどの感染症に伴って、ウイルスを退治するために活性化された細胞傷害性T細胞(リンパ球の一つ)が、ずっと活性化したままで、脳の中にも入り込んで、神経細胞を攻撃してしまうことによります。
【診断】
 以下のような特徴で診断します。
 1)感染の後などに、2)徐々に増加してくるてんかん発作、3)一側の半球障害に基づく片麻痺や視野障害、4)脳波検査での一側の半球の徐波、5)MRIでの病変の特徴(消退を繰り返したり場所が変化したり)、6)髄液の中の細胞傷害性T細胞の出すGranzyme Bの濃度、7)髄液の神経自己抗体(グルタミン酸受容体抗体など)の存在。
【治療】
 抗てんかん薬の治療に加えて、1)ステロイドパルス治療、2)ガンマグロブリン療法、3)タクロリムス、4)血漿交換療法などの免疫治療が行われます。身体の麻痺が固定してきますと、てんかんの原因が言語優位半球側にない場合(右手利きの場合は左半球が言語優位である場合が多い)は、機能的半球切除というてんかん手術が検討されます。最近保険適応となった迷走神経刺激は有効という報告はありません。
 最近では、免疫治療の普及で身体の麻痺まで進まない方も多く、不全麻痺が改善する例もあります。

(国立病院 機構静岡てんかん・神経医療センター小児科 高橋幸利)


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