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Q31:てんかんに対する迷走神経刺激療法が日本でも認可されたと聞きましたが、どんな治療法ですか?小児にも使えるのですか?

A: 難治てんかんに対する補助療法として迷走神経刺激療法(以下VNS)が、今年1月に薬事承認が下り、日本でも使えるようになりました。今回の認可は、小児のてんかん、全般発作にも適応が含まれており、難治てんかんを持つ患児にとっても朗報と言えます。以下にVNSについて簡単に説明いたします。

 VNSは心臓のペースメーカーのような体内埋め込み型の刺激発生装置により左頸部の迷走神経を持続的に電気刺激して、脳に伝達された刺激によっててんかん発作を緩和しようとする治療法です。
 刺激発生装置の埋め込みには小手術が必要です。切開部分は2カ所で、1カ所は左頸部の迷走神経を表出する部分で、螺旋電極を巻きつける場所。2カ所目は左大胸筋の部分で刺激発生装置を入れる部分です。通常、埋め込み後、2週間後より刺激を開始します。

 VNSの有効性ですが、海外の報告では、レンノックス・ガストー症候群に対しては、50%以上発作減少する割合が50−60%(成人部分てんかんでは30−40%の減少率)と成人部分てんかんの結果よりやや良い結果が報告されています。また、刺激継続期間とともに効果を発揮する傾向や成人同様の安全性が報告されています。発作減少以外のメリットとして、小児神経領域では発作程度、回復時間、記憶、情動、覚醒度の改善、入院回数の減少などが報告されおり、患児の生活の質の向上にも役立つ可能性があります。

 副作用は刺激に関連した一時的なものが多いようです。咳、声の変化、刺激部の違和感、しびれ感などですが、刺激期間とともに減少します。適切な刺激条件を決めることにより副作用を最小限にすることができます。

 適応疾患は日本では部分てんかん、全般てんかんを問いません。しかし、VNSはあくまでも薬剤抵抗性てんかんに対する補助療法です。症候性あるいは潜因性てんかんが主な対象疾患となると思いますが、経過中一過性に治療抵抗性を示すことのある一部の良性てんかん(Panayiotopoulos症候群など)が、適応に含まれないように注意が必要です。

 現時点では、ガイドラインでは、「VNSの適応判断ならびに刺激装置植込み術は、日本てんかん学会専門医ならびに日本脳神経外科学会専門医の資格を有するてんかん外科を専門に行っている医師」となっているため、埋め込み手術が可能な施設は各々の地域で限られてくるかと思います。VNSが今後、小児の難治てんかんの補助療法として安全かつ有効に使用されるためには、小児神経専門医とてんかん専門の脳神経外科医との綿密な連携が重要と思います。

(札幌・中の島診療所 若井周治 )


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