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Q11: 筋ジストロフィー症状を示すポンペ病に酵素を補充する新しい治療法が出来たと聞きました。どんな治療法でしょうか?

A: 2007年6月からポンペ病に対する酵素補充療法が開始になりました。ポンペ病はまれな種類の筋ジストロフィーで、約4万人に1人の頻度(1 万4千人〜30万人に1人の範囲)で発生する常染色体劣性遺伝病です。細胞の中でグリコーゲンを分解する酵素(酸性アルファグルコシダーゼ)が欠損し、 骨格筋、心筋、平滑筋にグリコーゲンが蓄積して、進行性の筋ジストロフィーの症状を示します。
 乳児期に発病する場合には、身体が柔らかく、運動の発達が遅れ、哺乳が難しく、よく肺炎をおこす、汗が多く、体重が増えないなどの症状で発病し、肝臓が大きくなり、心不全で12ヶ月以内に死亡します。
 乳児期以降に発病する場合は、歩き方がおかしくなる、立ち上がるときに膝に手をついて立ち上がる、朝の頭痛を訴える(夜の呼吸機能の障害)などで発病し、ゆっくり進行して、進行すると筋肉が壊れ、歩けなくなります。肝臓が大きい場合もありますが、重度の心臓の障害はほとんどみられません。発病年齢は幼児期から 中年までと大きな幅があります。
 この疾患は細胞の中の酵素の欠損ですから、細胞の中に酵素を補ってあげれば治療が可能になります。遺伝子組み替えにより、筋肉の細胞がその酵素を取り込むように工夫した製剤が開発されました。この製剤を点滴で血液の中に入れると、乳児型では、筋肉のグリコーゲンの沈着がなくなり、心臓の機能、筋肉の力が回復し、正常に歩けるようになりました。遅発型でも筋力が正常レベルまで回復します。酵素補充療法はこのような画期的な治療法で、現在、日本では約30名がこの治療を受けておられます。
 酵素補充療法はその他のライソゾーム病であるファブリ病やゴーシェ病でも認可されていますが、血管の中に入れた酵素は脳の中にはほとんど入らないので、神経症状には効きません。脳の症状がないポンペ病にはたいへん期待される治療法です。
 上の様な症状があって、筋肉から出てくる酵素(CK)などの高値がある場合は、ポンペ病を疑います。筋肉を取ってグリコーゲンの蓄積を調べること、 リンパ球や培養線維芽細胞で酸性アルファグルコシダーゼの活性を調べることでポンペ病の診断をします。
 この酵素は大阪市立大学、鳥取大学、北九州総合療 育センターなどで測定しています。

(鳥取大学医学部脳神経小児科 大野耕策)


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