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Q10: 暑い日が続いていますが、熱中症とはどんな病気ですか?防ぐ方法と熱中症になってしまった時の処置法を教えてください。

A: 熱中症とは暑い環境で身体に生じる色々な障害の総称です。専門的には、「暑熱環境下や運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた軽度の失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」と定義されています。熱波により主に高齢者に起こるもの、乳幼児に高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。熱中症というと、暑い環境でのみ起こるものというように思われがちですが、スポーツや身体活動中では、筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、常温環境でも発生しうるものです。小児に関しては、炎天下の車の中に放置されることによる熱中症や、ベビーカーの位置が地面に近いので、乗っている赤ちゃんが熱中症になりやすいなど、特別な注意が必要です。
 熱中症は一般に、
1)熱失神
2)熱疲労
3)熱けいれん
4)熱射病
の4型に分類されています。
1)熱失神は皮膚の血管の拡張によって血圧が低下し、脳の血流が減少した結果、めまい、失神(意識を失う)などが見られる状態です。
2)熱疲労とは、大量の汗をかき、水分の補給が追いつかない場合、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、はきけ、などの脱水症状が出現した状態です。
3)熱けいれんとは、大量に汗をかき、水だけを補給した場合、血液の塩分濃度が低下し、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんがおこった状態です。暑熱環境下で長時間の運動をして大量の汗をかく時におこるものです。
4)熱射病とは、体温の上昇のため、中枢神経機能に異常をきたし、意識障害(意識がない、応答が鈍いなど)が出現するような重症の状態です。頭痛、吐き気、めまいなどの前駆症状がみられますが、いったん発症すると全身臓器障害を合併することが多く、死亡することもあります。
 熱中症の予防法としては、個々人の体調に応じた活動を考慮すること、十分な水分補給、早期の応急処置に尽きます。日本体育協会が「熱中症予防の原則」として8ヶ条を発表していますので、参考にしてください。
(「日本体育協会」のHP、http://www.japan-sports.or.jp/medicine/guidebook1.html)
 熱中症の処置ですが、1)熱失神、2)熱疲労の場合は涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。吐き気やおう吐などで水分補給ができない場合には点滴を受ける必要があります。
3)熱けいれんの場合は、失われた塩分を生理的食塩水(0.9%食塩水)を補給することにより通常は回復します。
4)熱射病は死の危険のある緊急事態ですので、体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での応急処置が極めて重要です。
 冷却は、皮膚を直接冷やすより、全身に水をかけたり、濡れタオルを当ててあおぐ方が、気化熱による熱放散を促進させるので効率がよくなります。頸部、脇の下、大腿部の付け根などの大きい血管を直接冷やす方法も効果的です。
またとっさの場合、近くに十分な水が見つからない時は、水筒の水、スポーツドリンク、清涼飲料水などを口に含み、患者の全身に霧状に吹きかけてください。全身にまんべんなく吹きかけることにより、汗による気化熱の冷却と同じような効果をもたらします。熱射病が疑われる場合には、直ちに全身の冷却処置を開始し、一方で救急車などによる総合病院への搬送を急ぐ必要があります。

(札幌・中の島診療所 若井周治)


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