日本小児神経学会
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声明:「新生児へのビタミンK投与は必須です。全ての新生児に
提供されるべき医療であることをあらためて支持します。」

 開業助産師が新生児にビタミンKを与えずに、有効成分が全く含まれないK2レメディと称するものを与え、その児が2か月で頭蓋内出血で死亡して訴訟となった事件が報道されました。
 日本周産期・新生児医学会は、8月5日に「新生児へのビタミンK投与による頭蓋内出血予防効果には強い科学的根拠があり、全ての新生児に提供されるべき医療であること」、「ビタミンK投与の重要性を新生児に関わる医師、助産師、看護師が再確認するべきであること」、「行政当局による積極的指導を要望すること」という主旨の声明を発しましたが、日本小児神経学会もこの声明に賛成します。
 また、当該助産師は新生児にビタミンKを与えなかったのみならず、母子手帳にはK2投与済みと虚偽の記載をしたとも報道されています。日本小児神経学会会員は、神経症状を呈する小児を診療する立場にあります。ビタミンK欠乏性の出血は、生後24時間に起こるもの、24時間以降7日までに起こるもの、2週間から6か月位の間に起こるものと3つの起こり方があります。頭蓋内出血予防のためのビタミンKの投与が、現在のように全例に施行されるようになる以前は、母乳栄養児が生後1か月位でけいれん重積を起こして来院し、ビタミンK欠乏による頭蓋内出血と診断するに至ったことが多々ありました。その方達の中には一命を取り留めても、重い後遺症を残した方も多くおられます。
 現行のビタミンK製剤投与法は1989年から実施されており、それ以前は母乳栄養児の1,500人に1人、混合栄養児の3,500人に1人のビタミンK欠乏性頭蓋内出血がありましたが、新生児にビタミンK投与が行われるようになってからは激減し、ビタミンK欠乏性頭蓋内出血は例外的になっています。ですから、新生児に対するビタミンK投与が定期的に開始されたということは画期的なことであります。
 今でも、2か月位の乳児に出血傾向を認めることがまれにありますが、我々はそのとき必ずビタミンKの投与の有無を保護者に尋ね、また、母子手帳で確認し,可能性があれば、ビタミンKを投与します。本来ならば血液検査で濃度が低いことを確認してからビタミンKを投与するのが論理的ですが、頭蓋内出血の危険を感じた時には、投与を躊躇するのは危険であることを過去に経験しているからであります。母子手帳の記録は非常に重要であります。
 また、現状では、費用も自己負担であり、実際の投与方法が現場の判断に任されていることも問題があると考えます。投与の時期や投与量も、統一したやり方になっておらず、里帰り分娩や、生後早期の転居などで、投与の確認が抜ける例もあります。
 いずれにせよ、意図的にビタミンK製剤投与を新生児に行わなかったこと、虚偽の記載を母子手帳に行うなど言語道断であります。子どもたちの権利の代弁者として今後このようなことの行われることのないよう、切望いたします。
 子どもたちにかかわるすべての医療従事者が、必須とも言えるべき処置を確実に行うことを担保し、必要な場合には速やかに医師へ連絡をするなど的確な判断と誠意を持って職務遂行できる生涯教育と確認指導が確実となる体制整備が必要と考えます。

 2010年8月31日

日本小児神経学会 
理事長 大澤真木子


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