日本小児神経学会
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2013年6月4日

レベチラセタム使用上の注意改訂に関連して

日本てんかん学会

理事長

 兼子  直

日本小児神経学会

理事長

 大野 耕策

 今般、レベチラセタムの使用に際して、添付文書の重要な基本的注意の項に「易刺激性(ちょっとしたことでイライラする)、錯乱(いろいろな考えや感情が入り混じって頭が混乱する)、焦燥(いらだってあせる)、興奮、攻撃性(他の人の行動や意見を責めたりする)等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもある」ことが追記されました。もとより、抗てんかん薬は中枢神経系に作用する薬剤なので使用に伴って精神症状が生じることがある可能性があることは専門家の間でもよく知られています。そのため、日本てんかん学会の「成人てんかんの精神医学的合併症に関する診断・治療ガイドライン」には、「治療のために用いた抗てんかん薬が、精神病性障害や気分(感情)障害などの精神医学的合併症の原因となり、見過ごされていることがある」とも書かれており専門家に注意をよびかけています。そして、「てんかん薬による精神および行動の障害を予防するためには、強力な抗てんかん薬の追加投与や変更は時間をかけて行い、きちんと服薬し続けて頂けるように指導を十分に行う」ことが推奨されております。
今回のレベチラセタムの使用上の注意改訂によって、レベチラセタムがとりわけ危険な薬剤であるとの誤解が患者さんやそのご家族に生じることを専門家の立場から心配しています。レベチラセタムは、日本を含む90以上の国と地域で承認・発売されている幅広い発作型に有効な抗てんかん薬です。現在レベチラセタムによって症状が安定している患者さんが服用をやめるようなことがあれば、発作の再発やけいれん重積状態の誘発などの危険な事態も憂慮されます。また、難治性の発作にお悩みの患者さんへの使用が控えられるようなことがあれば、本来は抑制されるであろう発作がそのまま持続し、患者さんのQOLが阻害されることにもなりかねません。医師は抗てんかん薬の使用開始後や増量後には精神症状が発現する可能性(この際、動くのが難しかったり、お話をする事が難しい方では頭を打ち付けるなどして自分の体を傷つける自傷行為(の増加として症状が出ることもあります)を念頭において治療をすすめていますが、患者さんやそのご家族もいつもと様子が違うなど気がかりな症状が見られた時は主治医にご相談ください。医師は、精神症状の発現のリスクと、発作が抑制されないことによって生じるリスクとを比較して、妥当な薬剤を選択していきますので、ご心配の時は主治医にご相談くださいますようお願いいたします。
 なお、多くの抗てんかん薬の添付文書の副作用欄にはさまざまな精神症状の発現が記載されています。とくに、米国食品薬品局(FDA)は2008年にすべての抗てんかん薬について自殺関連行動のリスクが高まることを記載するように製薬会社に求めました。これをうけて、日本でもすべての抗てんかん薬の添付文書のその他の注意の項に、「海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮および自殺企図の発現リスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高い」ことが記載されました。今後も最新の知見に基づき、抗てんかん薬使用に伴う精神症状については変更や更新がありえます。医師も、日常診療にあたっては添付文書の記載内容を適宜参照し注意深く診療しておりますので、患者さんやご家族には自己判断で中断や減量などされずに主治医にご相談くださいますようお願いいたします。

(注)レベチラセタム:「神経同士の連絡の中で、前シナプス終末に存在する神経伝達物質の放出に関連した膜構成たん白質のsynaptic vesicle protein 2A (SV2A)に親和性(くっ付きやすい)を示し、このSV2Aに結合することによって前シナプスからの神経伝達物質放出を調整することが主な作用機序」と考えられています。この作用は 他の抗てんかん薬には認められておりません。この薬剤は、欧米において、成人部分てんかんに対する単剤および併用療法に加え、特発性全般てんかんの強直間代発作およびミオクロニー発作に対する併用療法、さらに小児部分発作に対する併用療法の承認も取得しており、英国のてんかんの薬物治療ガイドライン(2012年改訂)では、成人のみならず、小児においても併用療法で最初に試みる抗てんかん薬として位置付けられています。このような海外での状況を鑑み、新規抗てんかん薬を用いた薬物治療ガイドライン(日本てんかん学会)において、LEVは初発の成人/小児部分てんかん/混合てんかんに対する単剤療法、成人/小児難治部分てんかんに対する併用療法、強直間代発作ならびに若年ミオクロニーてんかんに対する併用療法で有効と評価されている抗てんかん薬です。

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