日本小児神経学会
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2012年9月1日

厚生労働省 医薬食品局 審査管理課
医療機器審査管理室長 殿

一般社団法人日本小児神経学会
理事長   大野 耕策
薬事委員会委員長 大澤真木子

カルニチン測定試薬に関する要望書

 厚生労働省におかれましては、常々薬事行政に関し、一方ならぬご尽力をいただき、誠にありがとうございます。このたびはカルニチン測定試薬について、お願い申し上げます。
 さて、平成23年3月、レボカルニチン製剤「エルカルチン錠100mg,300mg」(以下,本剤)は,薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会(平成22 年10 月29 日開催)における「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:レボカルニチン塩化物、カルニチン欠乏症の効能の追加」に関する事前評価および提出された資料から、カルニチン欠乏症に対する有効性および安全性が確認され、承認されました(添付資料1:審査報告書)。
 カルニチン欠乏症は生命に重大な影響があり、早期の治療が必要であること。重篤なカルニチン欠乏症では、低血糖発作による昏睡など生命を脅かす臨床症状を呈し,重篤で不可逆的な脳障害、多臓器障害を来すことが多く、その治療には早期のレボカルニチン補充が必要であります。この点今回、レボカルニチン塩化物、カルニチン欠乏症の効能を追加していただきましたことは誠に有難く、心より感謝申し上げます。日本小児神経学会では、先天代謝異常症のみならず、てんかん患者の治療にもあたっております。幅広い有効性を持つ,バルプロ酸などの抗てんかん薬投与時にもカルニチン欠乏症が発症し、肝毒性や高アンモニア血症による脳症が発症する可能性があります。また、重症心身障害者が経管投与のみによる栄養で管理された場合,カルニチン欠乏症により高アンモニア血症、低血糖、肝機能障害、心筋症などが発症することが報告されています。
 臨床において原因となる疾患が確定診断されていることが望ましいのですが、これらの患者のカルニチン欠乏状態を把握し、適切に治療するためには、薬事承認を得た保険適用のなされた測定方法が必須と考えています。特殊な機器を必要としないカルニチン測定試薬の体外診断用医薬品としての承認およびカルニチン測定の保険適用が強く望まれるところです。確定診断において重要な検査である血中または尿中有機酸分析、カルニチンプロファイル分析、血中カルニチン濃度測定は審査時点で保険適応が認められておらず、専門の医療機関でのみ、それらの一部の検査等が行われている現状であります。
 ここで確認しますと、現時点で承認していただいているその「効能・効果」および「用法・用量」は以下のとおりです。

効能・効果:カルニチン欠乏症

用法・用量:

通常,成人には、レボカルニチン塩化物として、1日1.8〜3.6 gを3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。通常、小児には,レボカルニチン塩化物として、1日体重1 kgあたり30〜120 mgを3回に分割経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

 承認後の本剤の添付文書(添付資料2)では、≪効能・効果に関連する使用上の注意≫および〔使用上の注意(2.重要な基本的注意)〕に以下の記載があります。
 ≪効能・効果に関連する使用上の注意≫
  (1)本剤は、臨床症状・検査所見からカルニチン欠乏症と診断された場合あるいはカルニ
     チン欠乏症が発症する可能性が極めて高い状態である場合にのみ投与すること。
  (2)本剤の投与に際しては、原則として、カルニチンの欠乏状態の検査に加え,カルニチン
     欠乏の原因となる原疾患を特定すること。

 〔使用上の注意(2.重要な基本的注意)〕
  本剤投与中は、定期的にバイタルサイン、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査,尿検査)、カ
  ルニチンの欠乏状態のモニタリングを行うことが望ましい。

 これらの使用上の注意が設定された背景には、検討会議報告書*に「種々の方法で疾患名を確定診断、さらにその疾患に応じて定期的に血中および尿中有機酸分析、カルニチンプロファイル分析をして、カルニチン欠乏症であること、あるいは感染などを契機にカルニチン欠乏症が発症する危険が極めて高い状態であることを明確に診断するべきである。」との記載があるものの、以下の理由により確定診断の時期を特定することができないと判断されたためと考えられます(添付資料1)。
 そこで、本剤を必要とする患者に対して適切に投与し、カルニチンの欠乏状態をモニタリングし治療効果を確認するためには、適切なカルニチン欠乏状態を把握するためのカルニチン測定が必要になります。現状では、タンデムマス等の特殊な機器を用いての測定や研究用試薬としての測定はありますが、いずれも保険適用されていません。
 以上のことから、日本小児神経学会としては、研究用試薬として販売されており、臨床検査受託会社でも「カルニチン分画定量検査」として使用されている「研究用試薬 総カルニチン カイノス」および「研究用試薬 遊離カルニチン カイノス」(製造元:株式会社カイノス)、添付資料3及び4」の早期の診断薬としての承認および保険適用を強く要望いたします。
 以上、重ねてのお願いで恐縮ではございますが、早期の診断薬としての承認および保険適用を強く要望いたします。

*検討会議報告書:医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議公知申請への該当性に報告書:レボカルニチン塩化物、カルニチン欠乏症の効能の追加」

添付資料1:審査報告書(平成23年1月31日,独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
添付資料2:添付文書「エルカルチン錠100mg,300mg」
添付資料3:添付文書「研究用試薬 総カルニチン カイノス」
添付資料4:添付文書「研究用試薬 遊離カルニチン カイノス」


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