日本小児神経学会
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平成20年10月22日

厚生労働大臣          舛添 要一 殿
厚生労働省医薬食品局      高井 康行 局長 殿
厚生労働省医薬食品局審査管理課 中垣 俊郎 課長 殿

日本小児神経学会 
理事長 大澤真木子

       

小児痙縮患者に対するボトックスに関する要望書

要望事項

  1. ボトックスの「小児上肢痙縮(2歳以上)」に対する適応の追加
  2. ボトックスの「小児下肢痙縮(2歳以上)」に対する適応の拡大

 平素は薬事行政に関し一方ならぬご尽力を賜り、心から感謝申し上げます。先般はボトックスの「小児脳性麻痺患者の下肢痙縮(2歳以上)に伴う尖足」の適応追加をご了承いただきありがとうございました。これにより我が国におけるボツリヌス療法が格段に進むことが期待されます。しかし、小児の脳障害による痙縮を示す患者の中には、今回お認めいただいた適応に当てはまらない患者が多数存在します。痙縮治療は、その原因疾患にかかわらず、患児の状態に応じた治療目的・目標を設定することが重要です。そこで、今後原因疾患を問わず、また痙縮の部位を問わず、小児に対し広くボツリヌス療法を行えることを念願し、上記2点を要望申し上げます。

<痙縮の病態について>

 痙縮とは上位運動ニューロンの障害により筋緊張亢進を呈し、深部反射亢進を伴う運動障害であり、上肢では屈筋群、下肢では抗重力筋の緊張が高くなり、様々な臨床症状を呈します1)。原因疾患には、脳性麻痺をはじめ遺伝性脳変性疾患、脳炎・髄膜炎、頭部外傷、脊髄損傷、無酸素脳症、脳血管障害、多発性硬化症などがあります。原因疾患にかかわらず、上位運動ニューロンの障害という共通性が重要であり、また、個々の患者の症状には、それぞれの脳障害の罹病範囲が重要です。上肢痙縮・下肢痙縮ともに随意運動を妨げるため、日常生活動作(ADL)の著しい機能障害をきたし、罹病期間が長期化するにしたがい、四肢の正常な発育を阻害し、二次的障害を生じ、ADL障害や介護者への負担がさらに助長されます。したがって、それぞれの痙縮部位に応じた治療を早期に開始することが重要です。

<本邦および海外における痙縮治療の現状>

 本邦では経口筋弛緩薬、整形外科的手術、神経ブロック療法、バクロフェン髄腔内投与などが行われていますが、これらの治療法は全身的な副作用や、侵襲性、高度な管理体制の必要性などが問題になります。一方、海外では日常の障害となっているさまざまな部位の痙縮に対してボツリヌス療法が行われています2)

 

<本邦のボトックスによる痙縮治療の状況>

 小児下肢痙縮患者については、ボトックスにおける「小児脳性麻痺患者の下肢痙縮(2歳以上)に伴う尖足」の適応追加について本年5月26日開催の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で事前評価にて了承され、製造販売会社(グラクソ・スミスクライン株式会社)より承認事項一部変更承認申請が行われました。しかしながら、今回の適応は「小児脳性麻痺患者の下肢痙縮(2歳以上)に伴う尖足」に限定されており、尖足以外の下肢痙縮ならびに小児脳性麻痺患者以外の下肢痙縮にはボトックスを治療に用いることは出来ません。また、本邦ではボトックスによる小児上肢痙縮患者への治療は、いまだ認可されておりません。

 以上の状況をご賢察の上、ボトックスを疾患の種類にかかわらず、小児のすべての上肢・下肢の痙縮の治療に適応拡大いただきますよう、お願い申し上げます。

引用文献

1)目崎 高広ら.痙縮.神経治療 1997; 14 (1):35-38.
2)根津 敦夫.ジストニアのABCとボツリヌス治療の展開4.脳性麻痺に対するボツリヌス療法の役割.PROGRESS IN MEDICINE 2008; 28(5):1139-1143.


平成20年10月22日

グラクソ・スミスクライン株式会社
代表取締役社長 マーク・デュノワイエ 殿

日本小児神経学会 
理事長 大澤真木子

小児痙縮患者に対するボトックスに関する要望書

要望事項

  1. ボトックスの「小児上肢痙縮(2歳以上)」に対する適応の追加
  2. ボトックスの「小児下肢痙縮(2歳以上)」に対する適応の拡大

 小児の脳障害における痙縮治療は、その原因疾患にかかわらず、患児の状態に応じた治療目的・目標を設定することが重要です。しかし現在、本邦で行える治療ではその対象年齢や治療目的・目標は限られております。疾患の特性および治療の現状から、原因疾患を問わず痙縮に苦しむ多くの患児の早急な救済のために、貴社におかれましても、上記の2点にご尽力いただきますようお願い申し上げます。

<痙縮の病態について>

 痙縮とは上位運動ニューロンの障害により筋緊張亢進を呈し、深部反射亢進を伴う運動障害であり、上肢では屈筋群、下肢では抗重力筋の緊張が高くなり、様々な臨床症状を呈します1)。原因疾患には、脳性麻痺をはじめ遺伝性脳変性疾患、脳炎・髄膜炎、頭部外傷、脊髄損傷、無酸素脳症、脳血管障害、多発性硬化症などがあります。原因疾患にかかわらず、上位運動ニューロンの障害という共通性が重要であり、また、個々の患者の症状には、それぞれの脳障害の罹病範囲が重要です。上肢痙縮・下肢痙縮ともに随意運動を妨げるため、日常生活動作(ADL)の著しい機能障害をきたし、罹病期間が長期化するにしたがい、四肢の正常な発育を阻害し、二次的障害を生じ、ADL障害や介護者への負担がさらに助長されます。したがって、それぞれの痙縮部位に応じた治療を早期に開始することが重要です。

<本邦および海外における痙縮治療の現状>

 本邦では経口筋弛緩薬、整形外科的手術、神経ブロック療法、バクロフェン髄腔内投与などが行われていますが、これらの治療法は全身的な副作用や、侵襲性、高度な管理体制の必要性などが問題になります。一方、海外では日常の障害となっているさまざまな部位の痙縮に対してボツリヌス療法が行われています2

<ボトックス治療の有益性>

 ボトックスは、局所投与製剤であり、緊張亢進を来している筋に直接投与するため、全身性の副作用が少なく、比較的低年齢の患児にも応用することができ、四肢の成長、運動発達の促進、ADL向上、肢位や機能障害の改善、歩行機能の改善、疼痛の軽減への効果が認められています。また、通常1回の投与で3〜4ヵ月薬効が持続するため、患児および保護者への治療負担が軽減されます。さらに、特に重症度の高い患者では、四肢の痙縮が緩和されることにより介護者の負担軽減も期待できます。また、痙縮の治療により内服薬使用量の減少、整形外科的手術の延期、介護の費用削減が想定されます。

<本邦のボトックスによる痙縮治療の状況>

 小児下肢痙縮患者については、ボトックスにおける「小児脳性麻痺患者の下肢痙縮(2歳以上)に伴う尖足」の適応追加について本年5月26日開催の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で事前評価にて了承され、貴社より承認事項一部変更承認申請が行われました。しかしながら、今回の適応は「小児脳性麻痺患者の下肢痙縮(2歳以上)に伴う尖足」に限定されており、尖足以外の下肢痙縮ならびに小児脳性麻痺患者以外の下肢痙縮にはボトックスを治療に用いることは出来ません。また、本邦ではボトックスによる小児上肢痙縮患者への治療は、いまだ認可されておりません。

引用文献

1)目崎 高広ら.痙縮.神経治療 1997; 14 (1):35-38.
2)根津 敦夫.ジストニアのABCとボツリヌス治療の展開4.脳性麻痺に対するボツリヌス療法の役割.PROGRESS IN MEDICINE 2008; 28(5):1139-1143.



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