日本小児神経学会
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新型出生前検査の導入についての日本小児神経学会の意見

 日本小児神経学会(会員3,839人)は、これまで病因が何であっても、症状がどんなに重症であっても子どもたちの「多様性あるいのち」「尊厳あるいのち」「より快適で広がりのある生活」を支えるための医療と支援を続けてきました。
 今回、米国シーケノム社の新型非侵襲的出生前検査(「新型出生前検査」と略します)が診療に持ち込まれようとしています。
 当学会は、子どもたちが生まれる前も生まれてからも子どもたちの生きる権利を擁護する立場にあります。障害の可能性ゆえの選択的中絶が大きな選択肢として前提とされる出生前診断は、極めて限定的に慎重に行われる必要があります。
 上記に加え、今回の新型出生前検査にはいくつかの問題点があります。現在,日本産科婦人科学会の指針案が提示されていますが、重度脳障害児から「発達障害」児までの治療、療育指導に深くかかわっている日本小児神経学会として以下の点を指摘し、安易な導入について反対の意思を表します。

1)血液検査のみで99%の精度で染色体異常症(おもにダウン症)が診断できる、といわれています。費用は21万円といわれ、高価ですが、従来の検査法より安全で精度が高いとされています。このことにより非専門的病院や個人でも容易に検査できる可能性が出てきました。その結果、専門医や専門スタッフによる適切なアドバイスを受けることなく、安易に選択的中絶への道が広がる可能性があります。
 これは、現在、何らかの障害をもちながらも、医療や医療的ケア、教育、福祉支援によって前向きで広がりのある生活をしている子どもたちの存在を将来否定することになりかねません。

2)同法によるダウン症に関する出生へのハイリスク妊婦(高齢、既往、超音波所見)と対象妊婦 (ローリスク妊婦)群の多数例による研究(Palomakiら、 2011)結果では、ハイリスク群では陽性的中率が96%でしたが、ローリスク群では陽性的中率が33%でした。
 すなわち染色体異常症の出生頻度が低い集団での陽性的中率は50%を切ります。決して「間違わない検査」ではないことを承知しなければなりません。

 以上、日本小児神経学会は、今回の「非侵襲的出生前検査」の導入前の十分な議論の必要性を強く要請し、安易な導入には反対します。導入するとしても、厳密な基準、直接診療と支援を担当している小児科医、小児神経科医が出席した意見発表の場など国民的議論が不可欠と考えます。加えて、症状がどんなに重症であっても子どもたちが、この社会で生きていけるための社会的支援の拡充を求めます。

 2013年1月31日

一般社団法人日本小児神経学会
理事長 大野耕策


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